近年、お米を粉にした「米粉」という言葉がよく聞かれます。昔からビーフンやベトナムのフォーなどは米粉で有名でしたが、最近では家庭で作られるパンやお菓子だけでなく、市販のパンや食品に至るまで米粉が使われる機会が増えています。このように米粉パンや米粉ケーキなど、小麦粉の代わりとして使われることも増えてきた米粉ですが、小麦粉と比べて米粉はどう違うのでしょうか。本記事では、米粉の特徴や小麦粉との違い、米粉を使うメリットについて詳しく解説します。

米粉とは?
米粉とは、お米(うるち米やもち米)を細かく砕いて粉末状にしたものです。米粉が話題に上り始めたのは最近ですが、古くから和菓子の材料として、上新粉・餅粉・白玉粉などと呼ばれ、団子や餅、饅頭などさまざまな食品の原材料に使われていました。

近年では米をさらに微細に製粉する技術が開発されたことで、小麦粉と同じように使えるようになり、これまで小麦粉を原料として作られていたパンや麺類、洋菓子など、さらに幅広い用途で使えるようになったのです。

米粉の種類
米粉には、以下のような種類があります。

・パン用米粉…小麦グルテンを添加することで強力粉と完全置換できるようにしたもの、米粉のみを使って独自のレシピでパンを焼くもの、もち米で食感を改良したものなどがある
・お菓子用米粉…主にお菓子用の素材として開発されたため、非常に細かく加工されているもの。パン用とは異なり、うるち米を100%使っている。
・玄米粉…白米に比べてビタミン・ミネラル・食物繊維などの栄養素が豊富な玄米を製粉・焙煎したもの。焙煎の度合いで色合いや風味が異なり、香ばしさを活かしたパンやお菓子が作れる。
・米粉ミックス粉…食パンやお菓子を作るためのミックス粉に米粉を使ったもの。近年ではグルテンフリーをうたい、小麦粉を一切使わないミックス粉も増えている。

米粉は100%米粉のみを使用しているものから小麦粉と合わせたものまでさまざまです。また、米粉は値段が高いというイメージがありますが、最近では小麦粉が社会情勢の影響で高くなってきていることから、米粉が相対的には安く感じられるようになってきています。

米粉と小麦粉の違い
米粉と小麦粉の違いについて、3つのポイントを解説します。

グルテンの有無
小麦粉には、水を加えてこねることでグルテンという粘りのもととなるタンパク質が多くできてしまいます。これは小麦粉を混ぜたとき、特有のダマができやすい特徴にもつながっているため、米粉を使うとダマができにくいです。グルテンはパンなどを作るときに膨らみやすいというメリットがある反面、アレルギーを起こしてしまう人もいます。

油の吸収率
米粉は小麦粉と比べて油の吸収率が低いです。そのため、天ぷらなど揚げ物を作るときにも米粉を使うと余分な油を吸いにくいため、油の摂りすぎになりにくくヘルシーかつ、サクサクと軽い食感で味わえます。時間が経ってもべちゃべちゃしにくいことも、小麦粉と異なる点です。

必須アミノ酸の含有量
小麦粉と米粉では、栄養成分表で見るとカロリーやタンパク質、炭水化物などに大きな差はありません。

<小麦粉(薄力粉)>100gあたり
カロリー…349kcal
タンパク質…8.3g
脂質…1.5g
炭水化物…75.8g

<米粉>100gあたり
カロリー…356kcal
タンパク質…6g
脂質…0.7g
炭水化物…81.9g

出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

その一方で、必須アミノ酸の含有量には大きな違いがあります。必須アミノ酸とタンパク質がバランス良く含まれているかどうかを表す「アミノ酸スコア」という数値によれば、米粉が65、小麦粉が38〜44となっており、米粉の方がより必須アミノ酸が含まれていると考えられるでしょう。アミノ酸以外にもビタミンB1やビタミンEなど、米粉の方が栄養価には優れているといえます。

食感
小麦粉と米粉で最もわかりやすい違いは食感です。お菓子やパン生地などに米粉を使うと、もっちり感やしっとり感が出て、食べ応えがあります。これはお米に含まれるデンプンの一種、アミロペクチンによるものです。また、小麦粉に比べて水を吸収しやすいことから、しっとりした仕上がりになります。しっとりしたケーキやパンが好きな人には米粉がおすすめです。

米粉を使うメリット
米粉を使うメリットについて、3つご紹介します。

小麦アレルギーの人でも食べられる
小麦粉を使わず米粉だけで作ったパンやケーキなら、小麦アレルギー(グルテンアレルギー)の人でも食べられます。小麦アレルギーの人すべてがグルテンアレルギーではないため、アレルギーを持つ人は自分がどのアレルギーを持つのか注意が必要ですが、グルテンアレルギーの場合は米粉にすればパンやケーキも食べられます。

ダマになりにくく、手間がかからない
グルテンはダマになりやすいですが、米粉にはグルテンの元になるタンパク質が含まれないため、ダマになりにくい性質があります。そのため、作るときにふるいにかけたり力を入れてかき混ぜたりする必要がなく、手間がかかりにくいです。

糖質が気になる方におすすめ
米粉は低GI食品であり、食後の血糖値が急激に上がりにくいという性質があります。小麦粉を使った食パンなどはGI値が高く、食後の血糖値が急激に上がりやすいです。GI値が高いと血管に負担がかかって動脈硬化などを引き起こしやすくなるほか、エネルギー分が脂肪として身体に蓄積されやすくなってしまいます。健康やダイエットを目指す方には、低GI値の米粉はおすすめ食材です。

まとめ
米粉はお米を粉末状にしたもので、古くから上新粉・餅粉・白玉粉などと呼ばれ、和菓子の原料として使われていました。近年では米をさらに微細に製粉する技術が開発されたため、小麦粉と同じようにパンやケーキの材料としても使えるようになったことで広く使われるようになりました。小麦粉と比べてグルテンが含まれず低GI値食品の米粉は、グルテンアレルギーの人や糖質が気になる人におすすめです。
(おいしいごはん研究チーム)
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