日本人にとって馴染み深いお寿司は、今日でも高級料理から回転寿司まで、さまざまな形で幅広い層に親しまれています。お寿司と言えば酢飯の上にお刺身が乗った形態を思い浮かべる人が多いでしょうが、お寿司の起源は全く違う形だということを知っていますか?今回は、日本のお寿司がどうして現在の形になったのか、歴史とともにご紹介します。

お寿司の起源とは?
お寿司の起源は、東南アジアの「なれずし(熟鮓)」だったとされています。「なれずし」は発酵食品で、米粒がどろどろになるまでしっかり発酵させるのが特徴。当時、山岳地帯に住んでいた民族が、手に入りにくかった魚を長期保存するための方法として編み出したものです。川魚を保存するため、米などの穀類を炊いたものと魚を一緒に漬け込み、お米の発酵によって魚を保存していました。

日本のお寿司の歴史
では、日本のお寿司はどのようにして今のような形になったのでしょうか。その歴史を紐解いてみましょう。

日本に伝来したのは奈良時代
前述の「なれずし」は、奈良時代ごろに日本に伝わったとされています。甘酢で味つけしたごはんにアユやフナなどの川魚をのせて一晩寝かせたもので、保存食として食べられていました。これらは貢物として朝廷に献上され、貴族の食べ物だったこともわかっています。

この時代のなれずしの名残は、滋賀県の「鮒寿司(ふなずし)」に残っています。鎌倉時代になると、残り物の魚を使ったなれずしも登場。この頃は、ごはんは食べるためのものではなく、発酵させるためのものでした。

室町時代「なまなれ」の登場
発酵期間を短くし、ごはんも食べるようになったのは室町時代のことです。発酵が浅いうちにやめてしまうので、「なれずし」のように魚も発酵しきらず生の状態に近いため、「なまなれ」と呼ばれるようになりました。

「なまなれ」の出現で、お寿司には食べどきができ、食べる日から逆算して、お寿司を作ることもできるようになりました。単なる魚の保存食から、ごはん料理へと進化を遂げたのです。すし桶に塩をふった魚とご飯を交互に漬け、重石をして味をなじませる方法で作られるようにもなり、これが今の押し寿司や箱寿司の原型ともされています。

ぐっと現在の形に近づいた江戸時代
米酢の生産や流通がさかんになり、庶民でも気軽に使えるようになった江戸時代中期には、発酵させる必要のない「早寿司」が誕生しました。こうして庶民の間では待たずにすぐお寿司を食べられるようになったのですが、この頃でもまだ天皇家・将軍家・大名家など、名のある上流階級では伝統を守るため、なれずしを食べることが多かったようです。

江戸時代後期には「握り寿司」が登場
今のように握り寿司として食べられるようになったのは、江戸時代末期になってからとされています。江戸で流行していた屋台で、握ったらすぐに食べられる「握り寿司」が生まれました。これは江戸前(東京湾)でとれる魚介類や海苔を使っていたことから、「江戸前寿司」と呼ばれるようになったのです。

この頃の握り寿司はおにぎりくらいの大きさだったので、切り分けて食べられていました。1皿に2貫のお寿司を盛るスタイルは、切り分けて食べていた当時の名残でもあります。後述しますが、大正時代にネタの種類が増え、お寿司のサイズも小さくなっていくまでは、現代で我々が想像するお寿司のサイズよりもやや大きい「一口半から二口」が1貫あたりのサイズだったようです。

明治になると、ネタが刺身に
製氷産業が盛んになった明治30年以降、漁法や流通の発展と相まって、これまで生の刺し身が扱えなかった寿司屋も、ネタを氷で冷やして保存できるようになりました。煮切り醤油をネタに塗って出す、現代では一般的な提供方法は、この時代に確立されたスタイルです。
さらに大正時代初期には、寿司屋に電気冷蔵庫が登場。続々とネタの種類が増え、サイズも小さくなっていきました。刺身+酢飯スタイルの握り寿司を全国に広めたのは、関東大震災の影響で各地に散らばった寿司職人だとされています。

お寿司におすすめのお米
このように立派なお米料理として、日本独自の進化を遂げてきたお寿司ですが、お寿司に合うお米とはどんなものなのでしょうか。

お寿司に向いているお米って?
寿司酢をしっかり吸収し、かつ上手に手の中でまとめやすく、しかし口にいれるとぱらりとほどけるタイプ。つまり、粘り気が少なめでさっぱりしたお米が向いています。ササニシキ、あきたこまち、はえぬき、などが良いでしょう。実際に、ササニシキの生産量が減っている現在でも、寿司職人はこだわりのササニシキを使う人も多いです。

ごはん彩々でも、お寿司におすすめのお米あり!
ごはん彩々でも、ササニシキ・あきたこまち・はえぬきを取り扱っています。ぜひ、ご家庭でお寿司を作る際にはお米の種類にもこだわってみてくださいね。

○ササニシキ
こだわりの寿司職人が好む、お酢とネタの味が引き立つあっさり系代表のお米。日本人の好みがもっちり甘いコシヒカリ系統に傾いたことで作付け面積が減ってしまいましたが、かつてはコシヒカリと人気を二分するほどの人気品種でした。ぜひ、昔ながらのうるち米の美味しさを純粋に味わえるササニシキを一度味わってみてはいかがでしょうか。

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○あきたこまち
コシヒカリを親に持ちながら、あっさりした食感でお寿司にぴったりです。甘みや旨みはコシヒカリ譲りなので、現代の日本人の好みにも合うでしょう。あきたこまちはなんと言っても酢飯に合うのが最大の特徴。お酢がよく入るので酢飯にツヤが出て、噛んだ時の食感がたまりません。巻き寿司の断面もきれいに仕上がります。

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○はえぬき
大手コンビニチェーンのおにぎりにも採用されている「はえぬき」。山形県で育成され、山形県以外ではほとんど栽培されていない、まさにブランド米そのもの。一粒一粒が大きめでしっかりしていて、甘みも旨みもほどよく感じられます。粘り気が少なくほぐれやすいので、酢飯にぴったりのお米です。

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まとめ
お寿司は東南アジアで魚を保存するための「なれずし」から始まり、日本に伝わってから独自の進化を遂げて現在の形になりました。刺身+酢飯スタイルはよく日本文化の象徴のように言われますが、このスタイルに落ち着いたのは明治時代です。ぜひ、お寿司にぴったりのお米を使い、寿司職人のこだわりに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

(おいしいごはん研究チーム)
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