お米を育てる「稲作」においても、野菜や果物を育てるのと同じように肥料が必要です。人間の身体に栄養分が必要なように、植物が育つためにも適切な栄養を与えなくてはなりません。今回は、稲作に必要な栄養分や化学肥料と有機肥料の違い、肥料の与え方、あげすぎや少なすぎによって生じる影響について見ていきましょう。

稲作に必要な栄養分とは?
まずは、稲作に必要な栄養分にはどんなものがあるか見ていきましょう。

必要な栄養分
稲作に必要なのは「窒素(チッソ)、リン酸、カリウム、マグネシウム、カルシウム」の5つです。それぞれの働きも詳しくご紹介します。
※他にも微量要素として鉄、マンガン、亜鉛、銅、ホウ素、ケイ素などが必要ですが、これらは山から引いてくる水に自然の恵みとして含まれています。そのため、肥料としてあえて与える必要はないとされています。

窒素(チッソ)
主に葉に影響する成分で、作物の生育と収穫量に最も大きく関わる栄養素です。茎葉を伸長させ、葉色を濃くするため「葉肥」と呼ばれることもあります。

リン酸
花や実のつきに関係し、「花肥」や「実肥」と呼ばれることもある栄養素です。不足すると葉枯れや、果実が熟しない「生育不良」、果実が糖度不足で甘くないなどの問題を引き起こします。
日本の土壌はリン酸が足りないことが多いため、積極的に施される肥料です。

カリウム
主に根の発育を促進する成分で、「根肥」とも呼ばれる栄養素です。他にも茎を育てたり、暑さ・寒さ・病気に対する抵抗性を高めたりします。
カリウムが不足すると、根の伸びがなくなるため、腐りやすくなってしまいます。

マグネシウム
作物の栄養となる、デンプンを合成する「葉緑素」の主成分です。足りないと葉緑素も少なくなるので、光合成によるデンプンの合成量が減ります。
つまり、マグネシウムは美味しいお米を作るのに欠かせないということです。
その他、リン酸・ケイ酸と相乗効果をもたらしたり、植物体内の重要酵素の活性剤となったりする働きもあります。

カルシウム
カルシウムを含む肥料を総称して「石灰質肥料」と言い、畑にまく石灰などに含まれる栄養素です。カルシウムの作用は多く、以下のような働きをします。

・ペクチンという多糖類と結合し、細胞膜を丈夫にして病害虫に対する抵抗力をつける
・根の生育を促進する
・植物体内でできる過剰な老廃物(有機酸)を中和する
・土壌酸度の調整に役立つ
・水に溶けやすいので、根の張りを良くしてエネルギーとなる炭水化物などを吸い上げやすくする

堆肥
土づくりには欠かせない肥料で、牛フン堆肥や豚フン堆肥などがあります。
堆肥の種類や製造所によって含まれる成分が異なるので、表記をよく見て上手に使わなくてはなりません。

化学肥料と有機肥料はどう違う?
化学肥料と有機肥料の大まかな違いは、以下の通りです。

化学肥料:科学的に窒素などを集めて肥料を作る。空気中の窒素や鉱物、岩塩など無機物からできていて、動物性のものを含まない
有機肥料:動物や植物の堆肥など有機物が原料。動物の糞や、米ぬか、魚骨などを微生物が分解した肥料

化学肥料とは、窒素・リン酸・カリウムなどのことを指します。また、成分の割合を調整した「混合肥料」も化学肥料の一種です。化学肥料は最初から作物に必要な無機物の状態になっているので、水に溶けるとすぐに作物の根から吸収され、即効性が高いのが特徴。便利なのですが、使いすぎると土に悪影響を及ぼすこともありますので、注意しながら使います。

一方、有機肥料には様々な種類があります。大豆などの油を原料とする油粕類、魚かすを原料とする魚粉類、動物の骨を原料とする骨粉質類なども有機肥料です。有機肥料の中でも、鳥の糞などを原料とする発酵鶏糞、草や木を原料とする草木灰は即効性が高いとされています。

有機肥料の主な役割は、土への栄養補充や土壌改良です。化学肥料とは異なり、一度、土中の微生物が分解することで、植物が吸収できる養分に変わります。即効性はありませんが、その分効果が続きます。土中の微生物のエサにもなり、微生物の繁殖を助けるので、農作業しやすい土を作るのに役立つ肥料です。

どのタイミングでどのくらい与えるのか
では、肥料はどのタイミングでどのくらい与えるのが良いのでしょうか。具体的な時期や、与えすぎ・不足による影響も合わせて見ていきましょう。

基肥と追肥
作物を植えるとき、土に施す肥料を「基肥(元肥)」、後から追加で養分を調整する肥料を「追肥」と言います。
※元肥=基肥。園芸作物では「元肥」の字が、水稲栽培では「基肥」の字が使われますが、意味はどちらも同じです。

基肥(元肥):効果がすぐに現れない遅効性・緩効性肥料が適するため、有機肥料が多く使われる。油かす、米ぬか、草木灰、腐葉土、魚粉、骨粉、堆肥といった肥料を、植え付けの際に土に混ぜ込む
追肥:効果がすぐに必要なため、化学肥料が多く使われる。植物に不足した養分を補うために与える肥料

このため、追肥を与えるときは育てたい部分に合わせて選びます。

与えすぎるとどうなる?
肥料と水が豊富にあれば稲はいくらでも伸びるのですが、伸び過ぎも良くありません。田んぼに葉が茂り過ぎると、下の葉に日光が当たらずお米を作る力が落ちてしまいますし、草丈が伸びればその分倒れやすくなるからです。肥料が効き過ぎて伸び過ぎた場合、水を落として田んぼを干し、稲が肥料を吸収できないようにすることもあります。

<各養分の与えすぎによる影響>
窒素を過剰に与えると、逆効果で軟弱な育ちになり病害虫に負けやすくなります。葉や茎だけ成長して実の部分への栄養が減り、収穫量が減ることも。カリウムが過剰になるとマグネシウム、カルシウムの吸収を阻害してしまいます。

特に、カリウムは土壌にあればあるだけ作物が吸収してしまうため過剰になりやすく、必要量は窒素よりも少ないです。リン酸を過剰に与えると逆に草丈が伸びなくなったり、微量要素と呼ばれる鉄や亜鉛などの欠乏症につながったりします。

足りなすぎるとどうなる?
肥料が不足している場合は、肥料切れになった稲の葉先から色が抜けてくるので、田んぼに色ムラができます。毎年変化する天候や土壌の状態に対応しながら、追肥作業を行うのがコツです。

まとめ
稲作に必要な栄養分とは、主に窒素・リン酸・カリウム・マグネシウム・カルシウムの5つ。これら化学肥料の他に有機肥料として、土作りの際に堆肥を混ぜるのが一般的です。窒素やカリウムは過剰になりやすいので、注意しながら与えます。毎年変化する天候や土壌の状態に対応しながら、追肥を施すのが稲作における肥料のやり方のコツです。
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