買ったばかりのお米の中でも、ところどころ一部が黒く変色しているお米が入っていることがあります。このように、お米が黒くなってしまうのはなぜなのでしょうか。また、このお米は食べても身体に害はないのでしょうか。

 

今回は、お米が黒くなってしまう原因や、黒くなったお米を食べても問題ないかどうかについて解説します。

黒くなっているお米は食べても問題ない
結論を言うと、黒くなっているお米を食べても全く問題ありません。まずは、その理由からご紹介します。

黒くなっているお米は食べてもOK
黒くなっているお米は、一般的に「斑点米」と呼ばれるもので、俗に「ヤケ」とも言われます。斑点米が入っていると品質に影響するのでは、と心配になるかもしれませんが、決して人体に害があるものではありません。稲の生育中に虫や熱、その他の要因によって米粒の表面が被害を受け、その痕が黒く残ってしまったもののことです。

ただし、見栄えが悪いのでお米の等級の評価には関わってくることもあり、精米工場でも基本的には除去しようとさまざまな取り組みがなされていますが、どうしても100%は取り除ききれません。

味は少し落ちる可能性がある

斑点米は虫の食害による場合が多く、栄養を吸われてしまっていることから、含まれる栄養分やうまみ、食感はやや劣る傾向があります。とはいえ、被害のひどいものは精米時に未熟米と一緒に弾かれるので、それほど神経質になる必要はありません。気になる人は捨てるようにしましょう。


黒いお米は虫が栄養を吸い取ってしまったもの
斑点米の最も多い原因は、虫が栄養を吸い取ってしまったことによるものです。

斑点米の原因で最も多いのは「カメムシ」
黒い部分のある「斑点米」ができる原因として、最も多いのはカメムシの食害(刺傷痕)です。カメムシはお米が発育して硬くなる前の柔らかい稲穂を狙い、針を刺して中のデンプンの汁を吸ってしまいます。こうした刺傷痕は玄米を精米したときに、被害が小さく薄いものであれば削れて取れてしまうのですが、ほとんどの場合は削りきれず残ってしまうのです。

カメムシの被害が起こるのは無農薬栽培だから?
カメムシの被害が起こるのは、どうしても農薬の使用量が少ない栽培のお米に多い傾向にあります。生産者は虫の住み家となる雑草を草刈機で除草しているのですが、田んぼの周囲に山などの虫が住みやすい環境があると、結局虫が山に逃げ、また水田に戻ってきてしまいます。

つまり、カメムシの被害を完全に防ぐのはそもそも難しいので、精米時に「色彩選別機」に通す回数を増やし、より入念に異物や斑点米を取り除く工夫をしている農家や米穀卸売会社や販売店もあります。

色彩選別機で選り分けても、完全には混入を防ぎきれない
前述のように、お米の流通過程では、斑点米など何らかの問題があって色がついてしまったお米(着色粒)を選り分ける「色彩選別機」を導入しています。とはいえ、やはり100%取り除くのは非常に難しいことで、どうしても少し混ざってしまうのは仕方がありません。

カメムシの被害を防ぐため、米農家が取り組んでいること

カメムシの発生の多さは5〜6月頃の天候に左右され、高温で湿度が高いほど多い性質があります。また、生産調整施策による稲からの転作、休耕田の雑草などがカメムシの生息地になってしまうこともあることから、カメムシの被害を防ぐためにはメインとして薬剤による防除を行っている農家が多いです。

 

特に、稲の穂が出る「出穂(しゅっすい)」から、お米の粒が大きく育つ「登熟(とうじゅく)」までの7月〜8月末までの期間に被害を受けやすいため、この期間に薬剤を散布することが多いのですが、現在では育苗箱に散布して初期防除を行う農家も多く見られます。

 

他にも、あらかじめ出穂前に田んぼ周辺の雑草を刈り取っておき、そもそもカメムシが水田の近くに生息しにくくしておく工夫をしているところも。草刈りと薬剤を組み合わせて効率よく防除することが、カメムシの被害を防ぐ上で重要なのです。

なぜスーパーのお米にはほとんど黒いお米がないの?
こうした傾向があるのは、スーパーのお米と専門店などの店頭精米では、精米の過程が違うことが影響していると考えられます。

◯スーパーのお米:米穀卸売会社により玄米を精米してから、割れたり変色したりしたお米を取り除く
◯店頭精米:お店では玄米の状態で保管しているため、玄米の状態で割れたり変色したりしたお米を取り除いてから、玄米を精米する

つまり、店頭精米ではそもそも茶色い状態の玄米を選別するため、玄米と同程度の茶色には反応しないようにセンサーを調節していることから、弾きにくい傾向にあるようです。とはいえ、お米マイスターなど米穀店の方が手間をかけられるぶん、丁寧に工夫をこらしてこだわりの精米を行っているケースも多く、一概にスーパーのお米の方が混入しにくい、とも言いきれません。

まとめ
お米の黒い部分は、虫や熱などの原因によって表面が変色したものです。主な原因はカメムシの食害ですが、人体に害はないので食べても問題ありません。食味はやや劣ると感じるかもしれませんので、気になる場合は取り除いて食べるようにしましょう。
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