私たちは食事を摂った後、食べ物を胃や腸などの消化器官でゆっくり消化し、含まれる栄養分を吸収して身体を作ったり、活動したりしています。食べ物を消化する時間には個人差もありますが、それぞれの食べ物によっても違ってくるのです。では、お米(白ごはん)の消化時間はどのくらいなのでしょうか。一般的なお米の消化時間の目安を見ていきましょう。
お米の消化時間って?
お米(白ごはん)の消化にかかる時間はどのくらいなのでしょうか。
消化のしくみとかかる時間は?
口から入った食べ物は食道を通って胃に入り、胃液と混ざってゲル状になり、十二指腸ですい液や胆汁などの消化液と混ぜられながら小腸に送られます。小腸は体内で最も長い臓器(全長6〜7m)で、内側の粘膜を広げるとテニスコート一面分にもなるとされています。胃から送られてきた食べ物をさらに細かく分解し、水分と栄養分の80%を吸収する消化器官です。

小腸でほとんどの栄養を吸収された食物は大腸(約1.5m)に送られ、小腸で吸収されなかった水分を吸収されます。その後、繊維質などいわゆる残りカスがゆっくり固められ、便となって排出されるのです。それぞれの過程でかかる時間は、胃が平均2〜3時間、小腸が5〜8時間、大腸が15〜20時間で、食べてから排泄されるまでの時間は、個人差もありますがだいたい24〜72時間程度です。
食べ物によって胃の滞留時間が変わる?

例えば、肉や天ぷらなど脂質の多い食べ物だと、胃の滞在時間が長く4〜5時間かかるとされています。

●食べ物の滞留時間の目安(いずれも100g)
おかゆ…2時間
お米(白ごはん)…2.5〜3時間
うどん…3時間
半熟卵…1.5時間
卵焼き…3時間
ステーキ…4時間
エビの天ぷら…4時間

胃液に含まれる消化酵素はタンパク質を分解することから、炭水化物や脂質はタンパク質と比べて長く胃に留まりやすい傾向があります。特に、脂質は胃の運動を抑えてしまうので、胃での消化に最も長く時間がかかるようです。一方、果物や野菜は胃での停滞時間が0.5〜2時間程度と早く、これは野菜や果物自身に酵素が豊富に含まれていて、消化・吸収を助けるためだとされています。

お米(白ごはん)の消化時間は、上記のように2.5時間〜3時間程度です。水分の多いお粥だと、それだけ早く消化されやすいため、胃での滞留時間が短めになる傾向があります。もちろん、食べ物の量が多ければその分消化に時間がかかりますし、量が少なければ早く消化できるのはどの食べ物でも同じです。

その他、心身の状態や空腹感、味や香り・調理法・温度などの美味しさ、雰囲気などにも影響されるため、食べ物の消化時間には個人差も大きいことがわかっています。
食事中に水を飲むと消化が悪くなる?
食べ物を消化するためには、まず胃液(胃酸)でしっかり溶かし、蠕動運動(ぜんどううんどう)で細かくすることが重要です。ところが、食事中に水を飲むと胃酸が薄まり、食べ物を溶かすのに時間がかかってしまいます。消化に時間がかかるとその分長く胃を働かせるので、胃への負担が増えてしまうのです。

胃に負担がかかるということは、全身の血液が胃に集中してしまうということでもあります。すると、脳に行く血液が少なくなり、脳が省エネ状態になろうとして眠くなるのだとか。つまり、食後眠くなる人は水分の摂りすぎで消化が悪くなっているかもしれません。心当たりの人は注意しましょう。
お米は腹持ちが良いって本当?
お米は、パンやパスタなどと比べると消化に時間がかかり、腹持ちが良いとされています。これはなぜなのでしょうか。
お米は主食の中でも腹持ちが良い!
白ごはんは、お米を「粒状のまま」食べるのがポイントです。パンやパスタなど小麦をいったんすり潰して小麦粉にしてから作ったものと比べ、お米は細胞をそのまま食べます。つまり、細胞質を体内で溶かしてから中のデンプンを消化するので、消化・吸収に時間がかかるため、腹持ちが良いということです。

このため、お米はパンやパスタと比べて食べ過ぎ防止にも効果的だとされています。また、お米に含まれる炭水化物には「難消化性デンプン」が多く、小腸で食物繊維のような働きをするので、パンなどと比べて急激に血糖値が上がりにくいのも腹持ちが良い理由の一つです。

詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。
「ごはんの成分にはどんなものがある?栄養素やカロリーを詳しく解説」
玄米は腹持ちが良すぎる!?
玄米といえば、ビタミンB群やビタミンEなどの栄養分や食物繊維がたっぷり含まれる健康食品として知られています。しかし一方で、玄米は胃液(胃酸)とほぼ同じ液体につけた実験によると、精白米と違って3時間後でもほぼ原型を保っていたという報告もあるほど、腹持ちが良い食品です。

つまり、これまで精白米を食べていた人にとって、玄米は非常に消化されにくく腹持ちが良すぎるとも言えます。玄米を食べるときは、体内で消化・吸収しやすいよう、しっかりよく噛んで食べましょう。粗めの分づき米にしたり、玄米をお粥にしたり、白米に少量混ぜたりするところからスタートし、徐々に完全に玄米を主食に置き換えていくのがおすすめです。胃腸の弱い方などは注意が必要です。

一方、子どもの頃から玄米を食べていた人なら、胃腸が対応できるようになっていくとも言われています。お子様がいるご家庭なら、小さいうちから玄米食を少しずつ取り入れ、玄米を消化・吸収しやすいように慣れてもらっておくのも良いかもしれません。
まとめ
お米の消化時間は白ごはんで2.5〜3時間程度、お粥で2時間程度とされています。特にお米は他の炭水化物と比べて消化・吸収に時間がかかるため、主食の中でも腹持ちが良く血糖値が上がりにくい健康的な食品です。ぜひ、腹持ちと健康を兼ね備えたお米を主食にしていきましょう。

(ごはん彩々・おいしいごはん研究チーム)

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