お米に氷を入れて炊くと美味しくなる、という説はさまざまな場所で見られます。近年ではテレビで紹介されたり、料理に関するウェブサイトなどでもよく見られたりするようになってきましたが、これは本当なのでしょうか。
今回は、お米に氷を入れて炊く方法や、氷を入れて炊くと美味しくなるのはなぜなのかについて解説します。
お米に氷を入れて炊くと美味しくなる?
結論から言うと、お米に氷を入れて炊くと美味しくなる、というのは本当です。まずはその方法をご紹介しましょう。氷を入れて炊く方法
ごはんを炊くとき、お米に混ぜて氷を5〜6個入れるという方法です。製氷機で作った普通の氷で構いませんが、氷の分、水の量が増えるので、溶けたときぴったりになるよう調整しなくてはなりません。この調整が難しいのですが、基本的には以下の方法で計量すると合わせやすいでしょう。【氷を入れた計量の方法】
・お米1合につき、1合カップ1杯の氷+水の割合が基本
・1合カップにあらかじめ氷だけを1〜2個入れてから、水を足して計量する
氷を入れるときは、少しコツが必要です。というのも、炊飯器の釜にお米と氷と水を入れて、お釜の線に沿って水の量を合わせようとすると、氷が水に浮いてしまうため難しいのです。また、1合カップで水を入れてからさらに氷を入れてしまうとなると、炊飯時に溶けて水の割合が増えてべちゃついてしまいます。
そのため、炊飯時に氷を入れるなら、上記のように氷を先にカップに入れて水を足し、1杯とカウントするのが良いでしょう。お釜の線でなく、カップで水量をはかる方法です。
冷水で炊く方法
とはいえ、上記のように氷を入れて炊く方法では、水の量を調整するのが難しいです。水の量が多すぎてお米がべちゃついてしまったり、逆に少なすぎて固くなってしまったりすることも少なくありません。そこで、おすすめしたいのが、氷を入れるのではなく、お釜にお米と水を入れて丸ごと冷蔵庫などで冷やしながら、2時間くらい浸漬(お米に水を吸わせること)する方法。このとき、できれば水道水よりも沸騰させて冷ました水のような、塩素を抜いた水を使うのがおすすめ。2時間経ったあと、指でつまんだときにほろっと崩れるぐらいだと十分吸水できていると判断できます。
ポイントは「冷やしながら吸水」
上記のように、お米を冷やしながらじっくり浸漬させるのが美味しくなるポイントです。忙しいときは「浸漬」の工程をつい飛ばしてしまいがちなのですが、冷水をお米にしっかり吸わせ、芯まで冷やすとふっくら美味しいごはんに炊きあがります。古米であっても美味しく食べられるので、休日など時間があるときにはぜひ「冷やしながら吸水」させる浸漬をやってみてください。
氷を入れたり、冷水で吸水させたりすると美味しくなるのはなぜ?
では、上記のように氷を入れたり、冷水で吸水させたりすると美味しくなるのはなぜなのでしょうか。
冷やした水で炊くと、沸騰までの時間が長くなる
電気炊飯器であっても、釜や土鍋であっても、お米を炊くときには一旦沸騰します。沸騰ということはだいたい100度くらいまで温度が上がりますが、一方で、お米のデンプンが糖分になる温度は80度とされています。この80度になるまでの時間が短いとデンプンが糖分に分解されにくく、ご飯の甘みが出にくいのです。つまり、氷を入れたり冷水を吸水させたりして、お米が80度になるまでの時間を長くしてじっくり炊き上げることで、デンプンがしっかり糖分に分解され、甘みがある美味しいごはんになるということ。特に、夏場に常温の水でごはんを炊いてしまうと、80度になるまでの時間が非常に短くなってしまうので、甘みが少なくなってしまうのです。
浸漬時間はどのくらいがいいの?
冷たい水でゆっくりと浸漬させると、お米の組織の隅々まで水がゆきわたり、粘りがよく硬さが少なくなります。例えば、水温5度、15度、25度で吸水させると、25度では約1時間でお米が吸う水分量が飽和状態になりますが、5度では120分かかることが実験から分かりました。つまり、冷水を使わずただ長時間放置していても浸漬時間は短いままなのです。ただし、半日(12時間)以上の浸漬は米の旨みやデンプン質が水に溶けだして、お米が割れやすくなってしまい、べちゃついたご飯になってしまいます。夜につけて冷蔵庫に入れておき、朝に炊くという場合は12時間を超えないよう注意しましょう。
まとめ
お米に氷を入れたり、冷水で炊いたりすると美味しくなるのは本当ですが、氷は水量をはかりにくいので、お釜ごと冷やすのがおすすめです。お米の隅々まで水を吸わせ、沸騰までの時間を長くとるとお米に甘みが出て美味しくなるので、ぜひ冷水で浸漬してからごはんを炊いてみましょう。
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