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レースへの臨戦態勢には欠かせないごはんを中心とした炭水化物

高橋尚子写真
(写真提供 読売新聞社)

高橋さんをはじめトップアスリートは、レース前には特別の食事メニューで臨むという。1週間を掛けて、長距離を走りきることができる食事に変えていくのだ。

――レースが日曜日だと、月?木曜日までは肉や魚などタンパク質が多く含まれている食材を摂り、そして金~日曜日の朝までは炭水化物を中心の食事にしていき、走りきるだけのエネルギーを蓄えていきます。

金曜日と土曜日は、うどんの中にお餅をいれた「力うどん」をおかずに、ごはんを食べ、レース当日は、お餅にごはんというメニュー。実際に、シドニーオリンピックのレース当日もお餅とごはんを食べました。

1998年のバンコックアジア大会のこと。スタートが朝の6時30分。朝食を3時30分に宅配で頼んでいたのですが、待てど暮らせど、朝ごはんが届かない。たまたまトランクにレトルトの白ごはんをもっていたので、それをポットで温め、白ごはんだけを食べてレースに臨みました。

レースは35度となる過酷な条件でしたが、日本新、アジア新を4分近く更新する結果に。ホントに「お米を食べておけば大丈夫!」と、心強かったですね。

それもあって以降、海外レースの時は、お米と炊飯器を持参するようにしました。

市民ランナーの方がレースに参加する場合も、前日、当日の食事でパフォーマンスが変わってきます。肉や野菜をまったくとってはいけないということではありませんが、炭水化物を多めに摂ることが必要ですね。

マイブームは一人用釜めし用釜の炊き込みごはんで温泉宿気分を!

高橋さんのごはん好きは現役を引退してからも続いている。最近凝っているのが、温泉旅館の朝食などでよく目にする一人分のごはんが固形燃料だけで炊けるお釜を使った炊き込みごはん。

――固形燃料一つで、約20分でおこげもできる炊き込みごはんが出来上がるんです。結構、ハマってますね。遊びにきた友人にも、温泉宿気分を味わってもらおうと、5個も揃え、固形燃料も大人買い。400個まとめて買ってしまいました。

基本、炊き込みごはんですが、具など内容を変えて、和風にしたり洋風にしたり。お米も地元・岐阜県産の「龍の瞳」など数種類を気分によって使い分けて楽しんでいます。

ホント、最近のマイブームです。

現役時代と同じように、高橋さんにとって食事は大事な楽しみの一つのようだ。そして、仕事では2020年の東京オリンピックに向け、東京オリンピック・アスリート委員会などを含め多方面で精力的な活動を始めている。

――マラソン出身なので、男女マラソンで復活した走りを見せてほしいと思っています。しかし、それ以上に、もっと一般の人に、スポーツを楽しんでもらえる環境作りをしたいと考えています。

2014年東京で開催された「世界卓球」にエルサルバドルから初めて国旗を背負って参加した子どもたちがいたんですが、彼らが口にした「東京って、すごい。子どもが一人でバスに乗っているし、女性が一人でランニングしている」と言葉が、忘れられません。

平和の祭典であるオリンピックを開催するに相応しい安全な環境、安心して走っている人がいっぱいいる日本にしたいな、と思っています。

私という存在だから発信できるという役割を、オリンピックに向けて見つけていけたらと思っています。

高橋尚子写真

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