冷めても美味しくて低アミロース米のミルキークイーンの特徴
 

現在、日本で主食(ごはん)用として多く栽培されているお米の品種はおよそ320品種(令和6年産)あり、それぞれ味に違いがあります。
コシヒカリの突然変異種を育成して誕生した「ミルキークイーン」はもっちりと強いねばりが特徴のお米です。
今回は「ミルキークイーン」の特徴やおすすめの食べ方などについて紹介します。

スーパーライス計画で開発されたミルキークイーン
 

粘りがあって冷めてもおいしいと人気のお米「ミルキークイーン」は、スーパーライス計画の一環で育成開発された品種です。

スーパーライス計画とは?

「スーパーライス計画」は、平成元年から平成6年にかけて農林水産省が中心となって行ったプロジェクト研究で、正式には「需要拡大のための新形質水田作物の開発」といいます。

スーパーライス計画は、さまざまな需要に応えられる、多様な形質を備えた米を生み出すことを目的として、低アミロース米や高アミロース米、巨大粒米、巨大胚米、香り米、
有色素米など、今までの日本には無かった新しいお米が開発されました。

スーパーライス計画で開発された主なお米の品種

スーパーライス計画で開発された主なお米の品種は次の通りです。

・超多収米(タカナリ)

通常の品種より30%以上多く採れるお米です。

 

・長粒香り米(サリークイーン)

ごはんにするとポップコーンのような香ばしい香りで、カレーやピラフに合います。

 

・大粒米(オオチカラ)

1000粒で約36gもある大粒のお米(通常のお米は約20g)です。

 

・小粒米(関東170号)

1000粒で約12gの小さな粒のお米です。

 

・巨大胚米(北海269号)

胚芽部分が通常のお米の約3倍の大きさのお米です。

 

・紫黒米(あさむらさき)

むらさき色のお米で、ビタミン類や鉄、カルシウムなどが豊富に含まれています。

 

・低アミロース米(ミルキークイーン)

アミロースが少ないお米で、ねばりが強く冷めてもかたくなりません。

 

・高アミロース米(ホシユタカ)

アミロースが多くねばりが弱いお米で、ピラフやチャーハンに向いています。

 

・低グロブリン米(LA-1)、低グルテリン米(LGC-1)

コメアレルギーや腎臓病にとって負担となるたんぱく質のグロブリンやグルテリンが少ないお米です。

 

参考:農林水産省農林水産技術会議研究開発課「スーパーライス計画と今後の展開」

参考:農林水産省 イネ 「こんなにいろいろあるんだ!」


ミルキークイーンの特徴

スーパーライス計画で開発された低アミロース米「ミルキークイーン」の特徴について紹介します。

ミルキークイーンの開発の経緯

「ミルキークイーン」は、日本で最も作付面積が大きい「コシヒカリ」の突然変異から誕生したお米です。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)がコシヒカリの
受精卵にMNU(メチルニトロソウレア)という突然変異原処理を行って育成しました。

 

研究が始まったのは昭和60(1985)年で、平成10(1998)年に「水稲農林332号」として品種登録されました。「ミルキークイーン」という名前は、低アミロースで米粒がミルクのように
白く不透明になることから付けられました。
ミルキークイーンの特徴

 

低アミロース米の「ミルキークイーン」は、粘りが強くモチモチした食感が最大の特徴です。冷めてもかたくなりにくいことから、お弁当やおにぎり、炊き込みご飯に向いています。

 

低アミロース米とは、うるち米ともち米の中間のお米です。うるち米には、アミロースというでんぷんが約20%、アミロペクチンが約80%含まれています。もち米はほぼ全てが粘りの強い
アミロペクチンで構成されています。低アミロース米は、アミロースの含有量が通常のうるち米より少なく、ねばりが強いごはんになります。ミルキークイーンのアミロース含有量は、
農研機構の資料によると9〜12%です。

 

参考:農研機構 低アミロース水稲品種「ミルキークイーン」の食味特性とその利用

ミルキークイーンのおすすめの食べ方
ミルキークイーンの美味しい炊き方とおすすめの食べ方について紹介します。

●美味しい炊き方

低アミロース米の「ミルキークイーン」は、通常のうるち米よりねばり気が強く柔らかいのが特徴です。そのため普段と同じ水加減で炊くと、炊き上がったごはんが柔らかくなり過ぎて
しまいます。他のうるち米の品種を炊く時より10〜15%ほど水の量を減らすと美味しいごはんが炊けます。

 

ただし、アミロース量は、栽培された土地や気候、気温などによって変わるので、好みの水加減を見つけて合わせて炊きましょう。

 

●おすすめの食べ方

ミルキークイーンは冷めても美味しいので、お弁当やおにぎりなど時間が経ってから食べる食事に向いています。また、強いねばり気があることから、炊き込みご飯にもおすすめです。
一方で、お米がパラパラの方が美味しいチャーハンやピラフ、カレーライスなどの料理には向いていません。

 

もともとねばりが少ない品種のお米や、古くなってねばりが少なくなったお米に混ぜて炊くと、ねばり気が増えて美味しいごはんが炊けます。


ミルキークイーンの主な産地

コシヒカリの突然変異で産まれた茨城が発祥の「ミルキークイーン」は、コシヒカリと同様に南東北より南の地域での栽培に適しています。しかし、コシヒカリと同じく「イネ科特有の
いもち病への耐性が弱い」「倒伏しやすい」ことから他の品種より栽培が難しいお米です。また、コシヒカリと比べると収量が少ないため、市場にはあまり出回っていません。

 

近くのお米屋さんやスーパーで「ミルキークイーン」を扱っていない場合は、ネット通販で取り寄せるのがおすすめです。同じ「ミルキークイーン」でも、産地や農家さんによって味が
異なるので食べ比べてみましょう。

 

長野県産「ミルキークイーン」

 
福井県産「ミルキークイーン」
 
ごはん彩々の「ミルキークイーン」の商品一覧はこちら
まとめ

「ミルキークイーン」は、スーパーライス計画で誕生したお米です。アミロースの含有量が低いお米で、お米の王様と呼ばれるコシヒカリよりも、もち米のような強いねばりと
モチモチした食感が特徴です。冷めてもかたくなりにくいことから、お弁当やおにぎり、炊き込みご飯に向いています。

(おいしいごはん研究チーム)
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